前立腺肥大症の治療

山本クリニック

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前立腺肥大症の治療

前立腺肥大症

2019/05/24 前立腺肥大症の治療

1. 薬物療法

良く効く薬がたくさんありますので、内服薬による治療が先ず試みられます。

 

α (アルファ)ブロッカー:

ハルナール、
フリバス、
ユリーフなどがあります。
最も良く使われている薬剤で、これらには後発品(ジェネリック医薬品)があります。

 

前立腺の平滑筋組織に分布しているアドレナリン性α1受容体を遮断し、筋組織の収縮による尿道の圧迫を解除します。
α ブロッカーには目まいのような副作用が出る場合があります。
たとえばフリバスでは、目まい(0.98%)、たちくらみ(0.49%)のような頻度です。頻度は高くありませんが、起こる場合には他の薬を使うようにします。
ハルナールフリバスユリーフ

 

PDE5阻害薬

ザルティア
2014年4月に発売された新しい薬です。
平滑筋を弛緩させる作用を媒介するcGMPを分解する酵素の働きを抑え、血液を送る血管や前立腺、膀胱の平滑筋を弛緩させて排尿障害を改善させます。また、膀胱から中枢神経への神経活動を抑え、頻尿などを改善させる効果もあります。服用した患者さんの評価が高いことが特徴とされています。
画像の説明画像の説明

 

抗アンドロゲン薬:

アボルブ、
プロスタールなどです。

ホルモン作用により大きくなった前立腺を縮小し排尿障害を改善するものです。前立腺が小さくなるのはアンチアンドロゲン剤だけです。
前立腺肥大に大きく関与する男性ホルモンはジヒドロテストステロンです。2009年に発売されたアボルブは男性ホルモンであるテストステロンをジヒドロテストステロンに代謝する酵素(5α還元酵素)を阻害します。このことにより肥大した前立腺を小さく縮小し排尿の症状を改善します。テストステロンは低下させませんのでインポテンス等の副作用の頻度は多くありません。

avolve

植物製剤・漢方薬など:

エビプロスタット、
セルニルトン、
パラプロスト、
八味地黄丸、
牛車腎気丸などです。

 

薬がどこにどう働いて効くかは明らかではありませんが、抗炎症作用・抗浮腫作用・抗うっ血作用などのより症状を改善します。
目立った副作用はありません。

eviprostatdbcernilton

2. 手術療法

薬物療法で自覚症状や残尿が十分に改善されない方、肉眼的血尿が続く方、定期的な通院を希望されない方などが適応となります。

 

1.経尿道的前立腺摘除術(TUR-P)
標準的な術式で、ほとんど全ての病院で手術を受けることが出来ます。

2.前立腺レーザー蒸散術(PVP、CVP)
PVPとCVPはレーザーを使った新しい手術法で出血が少なく安全な手術療法です。共に尿道から挿入した内視鏡に光ファイバー通し、前立腺組織に照射して前立腺組織を「蒸散」させる手術法です。PVPは光ファイバーを前立腺から少し離した場所においてレーザー光照射する方式で、CVPは光ファイバーを前立腺組織に接触させてレーザーを照射します。PVPは大阪府下ではPL病院(富田林)、吉田病院(枚方)など、CVPは2018年から大阪公立大学付属病院泌尿器科などの施設に導入されています。

3.前立腺レーザー手術(HoLEP)
ホルミウム・ヤグレーザーを使い、肥大した前立腺内腺をくり抜くように取り除く手術です。治療効果は大きいと考えられますが、手術は難度がやや高く習熟した術者が必要と考えられます。大阪市立大学付属病院泌尿器科などで受ける事が出来ます。

3. ノコギリヤシ(サプリメント)は有効か

サプリメントとしてよく知られているノコギリヤシは効くのでしょうか。
2017年に発刊された「男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン」によると、前立腺肥大症に対する効果は現時点で明らかで無いとされています。
200例以上を対象として1年以上の観察期間のある3つのレポートが引用されていますが、偽薬と比較して前立腺肥大症による排尿症状や尿の勢いに優位な改善が認められていません。2012年には4週間以上の観察期間のある17件の研究をまとめたレポートが報告されています。ノコギリヤシを通常量の2-3倍服用した試験でも偽薬に対する排尿状態改善作用に優越性は認めず、αブロッカーとの併用療法の効果も認められていません。ノコギリヤシによる副作用は問題になることは無く安全性は確認されています。
費用のことも考えなければなりません。期間が限定されるわけでは無く毎日服用することが必要です。比較的安価と思われる某有名メーカーのノコギリヤシ製品でも1日分で46円かかります。2019年2月現在でαブロッカーのハルナールは1錠(1日分)101円です。明治製菓やファイザーの販売するハルナールの後発品は28.60円、沢井製薬や日医工の製品は41.30円です。健康保険が適用されますので、サプリメントと違い薬は自己負担割合に応じて薬価の1割であったり2割、3割となります。明治製菓やファイザーの販売するハルナールの後発品は、1日分で1割負担では2.86円です。診療所に受診すると診察にかかる費用が必要となりますが、特別の検査が無い場合には、再診料などで1割負担では310円程です。
調剤薬局でも調剤料などが必要ですが、効果が証明されている医薬品を健康保険を利用して9~7割引で服用されることをお勧めしたいと思います。

 

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